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2015年1月7日
穂別博物館 2015年1月7日
in むかわ竜,広報むかわ
産地で発見されたハドロサウルス科の骨化石の分布および上顎骨と歯の発見された場所。オロロティタンの骨格無し(左)とあり(右)。
むかわ町穂別での恐竜発掘⑩ 2014年の第二次発掘②
2014年の第二次発掘までに採集したのは、骨化石が含まれている7mx4mの範囲で、これは推定される穂別恐竜の全身の大きさにほぼ一致します。発掘によって、たくさんの骨化石と、たくさんの遊離した歯化石が採集されました。歯化石が分布する中心の岩石を採集し、早急にクリーニング作業を進めたところ、頭骨の要素である上顎骨の一部が確認されました。
このことで、まだ断片的にしか判明していませんが、尾の先から頭部の一部までが確認されました。今後、恐竜化石のクリーニング作業を進めることで、頭骨全体の発見や全身骨格の確認が期待されます。穂別恐竜は現在の段階でも国内で有数の恐竜化石だといえますが、クリーニング作業がさらに進められ、さらなる部位が発見・確認されていくことで、超一級標本として国内外に知られていくと考えられます。
(広報むかわ2015年1月号より) 広報むかわ
2015年1月7日
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2014年12月2日
穂別博物館 2014年12月2日
in むかわ竜,広報むかわ,第二次穂別恐竜発掘(2014年)
今回の発掘で最大の約700kgの化石入り石こうジャケット(右)を採集しているところ。
むかわ町穂別での恐竜発掘⑨ 2014年の第二次発掘①
2013年の第一次発掘に続いて、白亜紀末のハドロサウルス科恐竜化石の第二次発掘を2014年9月4日から9月30日までの計21日間(雨天等中止、週1日休み)行いました。発掘参加者は東京大学・東京学芸大学・筑波大学の学生がそれぞれ数日間参加された以外は、2013年の参加者とほぼ同じで、参加人数は毎回10数名以上と増えました。
今回は第一次発掘よりも発掘参加者が増えたことに加えて、発掘が2年目になり作業の進め方が分かっていたことや、昨年の反省に基づいて道具などの工夫をする期間があったこと、事前に崖を大きく掘削したことで作業スペースが広くなったことなどによって、発掘の進行が第一次発掘よりもかなり早くなりました。また、発掘作業で、巨大な石こうジャケットを取れるようになりました。現地での細かい発掘を省略して恐竜化石を岩石ごと大きく持ち帰ったことになりますので、その分だけ発掘が早く進みました。
掘削をしていない部分に残りの恐竜化石が埋没している可能性もありますが、2014年の第二次発掘では、発掘中に見えていた骨・歯化石や骨化石入りの石灰質ノジュールをすべて採集しました。採集した化石の数量は、第一次発掘の約2倍で化石を含む岩石の総量は約4トンになりました。
(広報むかわ2014年12月号より) 広報むかわ
2014年12月2日
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2014年11月7日
穂別博物館 2014年11月7日
in むかわ竜,広報むかわ
穂別恐竜が死後、沖合いに流されている様子。モササウルス、ウミガメ、アンモナイトなどが生息している海中を流されていったと考えられる。イラストは服部雅人さん提供。
むかわ町穂別での恐竜発掘⑧ 恐竜の産状
穂別恐竜が産した地層の周辺からは海生のアンモナイトやイノセラムス科二枚貝が産しています。また周囲の同様の地層からは同じく海生のモササウルスやウミガメが産しています。これらのことから穂別恐竜が産したのは生息域の陸ではなく、海成層(海でたまった地層)だと考えられます。
恐竜が産した地層は、水深が80~200mの間と推定される外側陸棚の堆積物だと考えられています。これは、沿岸から少なくても10km以上沖合いの場所だと考えられています。
穂別恐竜は、生きていたときと同じように骨が関節している部分もあることや、全身が保存されていると考えられていることから、恐竜遺骸の腐敗が大きく進む前に、ほぼ全身がそのまま沖合いの海底まで流されたと考えられています。
(広報むかわ2014年11月号より) 広報むかわ
2014年11月7日
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2014年10月2日
穂別博物館 2014年10月2日
in むかわ竜,広報むかわ
2013年までに採集されたおおよその部位。骨格図は同じハドロサウルス科のオロロティタン。
恐竜の発掘(2013年の第一次発掘)③
2013年の第一次発掘は10月5日までの約1ヶ月間行われました。雨天などで作業できなかった日もあったので、発掘作業が行われたのは、計28日間で、その間にのべ200人が発掘作業に従事しました。
日本では恐竜化石の産出は極めて稀で、貴重なものなので、時間をかけて丁寧に発掘作業を進めました。そのため、2013年の第一次発掘では、1個体のすべてを採集できませんでした。採集できた部分は、尻や後脚などで、全身のうち、3割程度を回収しました(図)。2013年までに採集された部位は3割程度ですが、これだけの部位が産しているものは、日本産恐竜では数えられるほどしかないため、この時点でも国内で有数の標本といえます。
採りきれなかった部分についての発掘は、今年を含めて2~3年間、毎年1ヶ月間ほどかけて行う予定です。
(広報むかわ2014年10月号より) 広報むかわ
2014年10月2日
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2014年9月1日
穂別博物館 2014年9月1日
in むかわ竜,広報むかわ
恐竜化石の産状。当時の海底面がほぼ垂直で、写真は地層の下側から撮影。右大腿骨と脛骨・腓骨が関節している状態で産した。この部分は硬い石灰質ノジュールで覆われていて、その周囲は軟らかい地層。
恐竜の発掘(2013年の第一次発掘)②
今回の恐竜が産した地層は軟らかいので、露出した骨化石にアクリル樹脂をかけて補強しながら発掘を進めました。一方で、一部の骨化石周辺は石灰分が濃集しているノジュールになっていて、そこだけとても硬いため、軟らかい部分と同時に採集することが難しくなっていました。特に軟らかい部分の骨化石については、ほとんどすべてで、石こうを染み込ませた麻布で骨と地層を一体化させて補強しながら(写真の白い部分;石こうジャケット)、化石を地層ごと取り出しました。
今回の発掘では尾から後足の大部分が採集されました。右後足のモモとスネの部分(大腿骨〔だいたいこつ〕と脛骨〔けいこつ〕・腓骨〔ひこつ〕)は恐竜が生きていたときと同じように関節した(つながった)状態で産しました。この恐竜は海底に沈んだときに右ひざを曲げた状態で、そのまま化石になったことが分かりました。こうした骨の分布から、体の前方や頭の部分は、写真の下(現在の重力方向)の方に続いていると考えられます。
(広報むかわ2014年9月号より) 広報むかわ
2014年9月1日
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