2003年に発見された恐竜の尾椎骨と発見者の堀田良幸さん(左)、小林快次先生(右)。2013年7月の発表のとき。
恐竜の発見②
恐竜は古生物の中でも特に有名なので、恐竜が出たとなれば、博物館やむかわ町がより有名になって、たくさんの人が来てくれるようになります。博物館の学芸員がそのことを分かっていたので、その化石が首長竜ではなく恐竜らしいということにガッカリしている首長竜研究者の横で、小さくガッツポーズをしてしまうほど喜びました。
その化石について、恐竜の専門家である小林快次(よしつぐ)先生(北海道大学総合博物館)に見ていただきました。そして、その化石が恐竜であることが確認され、おそらくハドロサウルス科(植物食の恐竜)のものだろうされました。2003年に寄贈されたものは、尾椎骨(尾の部分の骨)が13個も連結したものであったことから、この時点でも、北海道で発見されていた3例の恐竜化石と比べても遜色のないほど保存状態のよいものでした。また、骨化石が連結した状態で産したので、少なくともその部分は、腐敗して骨がバラバラになる前に海底に埋まったものだということが分かります。こうした化石の産状と埋まっていた地層の堆積環境について考えてみると、体の他の部分もまだ埋まっている可能性が出てきました。
それを確認するために、2012年に化石が採集された場所を改めて見にいってみると、崖がさらに崩れていて、体のより前方の骨を確認することが出来ました。つまり、その先の崖の中に全長が8メートルと考えられる恐竜の全身がまだ埋まっている可能性が高くなってきました。
2013年9月から発掘を行うことにして、そのことを7月に発表しました。
(穂別博物館 学芸員 西村智弘)
(広報むかわ2014年7月号より) 広報むかわ