2014年6月3日
むかわ町穂別での恐竜発掘③
穂別博物館 2014年6月3日
in むかわ竜,広報むかわ
クリーニング前の骨化石。ノジュール断面の黒い部分が骨化石。
恐竜の発見①
2003年4月9日、むかわ町穂別に在住で化石の収集を趣味とする堀田良幸さんは、散歩の延長で、アンモナイトが出る沢沿いを歩いていました。そのときに、崖が少し崩れている場所でノジュールという硬い岩石を見つけました。ノジュールとは、化石の入っていることの多い岩石で、多くのものは石灰分が濃集したものです。堀田さんが発見したノジュールの断面には脊椎動物の骨の断面が見えていました。堀田さんは最初「ワニの骨かもしれない」と考え、それが希少なものであることから、穂別町立博物館(当時)に寄贈しました。
博物館は、その化石について首長竜の尾椎骨(尾の骨)であると考えました。しかし、博物館では他にも重要な化石についての調査を進めていたため、この化石の余分な岩石を取り除くクリーニング作業は、後回しにされていました。
2010年に首長竜の専門家の佐藤たまき先生(東京学芸大学)が穂別博物館に来られ、いくつかの首長竜化石の観察をされました。堀田さんが採集・寄贈した化石は、学会などで報告できる価値のあるものだとの指摘を受けたので、博物館がクリーニング作業を始めました。次の年の2011年にも佐藤先生が穂別博物館に来られ、その化石を観察されました。クリーニングが進んではじめて分かったのですが、その化石は首長竜のものではなく、恐竜のもののようだということが分かってきました。この化石が恐竜だとしたら、穂別地域で初めての産出記録で、北海道内でも4例目のとても希少なものとなります。このとき、佐藤先生は、この化石が研究対象の首長竜でなかったのでガッカリしたそうですが、その横で対応していた博物館の櫻井和彦学芸員は、喜びを隠しきることができず、小さくガッツポーズをしていたそうです。
(穂別博物館 学芸員 西村智弘)
(広報むかわ2014年6月号より)
広報むかわ
2014年6月3日
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