2014年5月13日
むかわ町穂別での恐竜発掘②
穂別博物館 2014年5月13日
in むかわ竜,広報むかわ,陸生カメ
恐竜の発見にいたる背景②
穂別博物館では、集まった希少な脊椎動物化石についてのクリーニング(整形)作業を継続的に続け、それらの調査研究を進めてきました。その結果、近年までに蝦夷層群産の海生(海にすんでいた)脊椎動物化石の首長竜が29個体、モササウルス類が11個体、ウミガメが41個体も収集されました(断片的なものも含む)。これらは国内の白亜紀脊椎動物化石コレクションとして、質・量ともにトップクラスのものです。こうした資料には新属や新種とされたものもあり、また現在も研究中で、世界的にも注目されているものも含まれています。加えて、海生のアンモナイトなどもたくさん収集され、一部のものは新種として報告されています。
これらが産した穂別地域の蝦夷層群は、海成層(海でたまった地層)であるため、そこから産するのは、ほとんどが海生の古生物で、ごく稀に陸生(陸にすんでいた)の古生物が産します(陸生の植物化石は例外で、植物片はたくさん産します)。穂別地域の蝦夷層群からは、これまでに陸生の脊椎動物が一例(陸生カメ;アノマロケリス・アングラータ、2001年に新属新種として報告)だけ知られていました。サハリンから北海道にかけて分布する蝦夷層群全体についてみても、陸生の脊椎動物の産出はきわめて稀です。陸生の恐竜は、これまでにシネゴルスク(川上炭鉱)、中川、小平、夕張からそれぞれ1個体のみが産していただけです。こうしたことから、穂別地域からも恐竜化石が産する可能性はありましたが、その期待はきわめて薄いものだと考えられてきました。(穂別博物館 学芸員 西村智弘)
(広報むかわ2014年5月号より)
広報むかわ
2014年5月13日
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